2006年02月28日

序章B3

 フィリスは席を立つと、幸繁に寄った。
「あなたはあれを危険視しているのかもしれないけれど、私はあれに未来を見たの」
「未来、ね。酔ってないか?」
「ええ。少しね」
 泥酔したフィリスの酒癖の悪さは当人が一番よく承知している。よって、ほろ酔い程度にとどめているのだ。
「……そうかね」
「あら、こんな時間。今日はここに泊めてくださるかしら?最近は幸繁さんが(結婚してから)遊んでくれないから寂しいの」
「……」
 なぜか冷や汗を流して黙り込む夫の代わりに、妻が言った。
「どうぞ。私達と一緒の部屋でいいかしら?」
 正妻の余裕を見せつけたのだった。
「あら、楽しくなりそうね」
 笑顔で返すフィリス。
 残りの当事者である幸繁は一人、大きくため息をついたのだった。
posted by 蒼野青 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電算司令部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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