2006年03月02日

帝都革命事変のこと(2)

「なんてザマだ」
 あっさり返り討ちにあった叛乱兵たちを一瞥し、大将の階級章をつけた若い女性はつぶやいた。
 大日本帝国陸軍の初号司令電算機、シホ大将である。

「諜報部の連中は何をやっていた?」
 現在の時点では詳しい事はシホにはわかっていなかったが、かなりの大規模な叛乱であるらしい事は容易に予想できた。
 諜報部が事前にその動きを掴めなかったという事が無性に腹立たしい。
 そこに、古い歌の文句が脳裏に響いた。『そなたの敵は、うじゃうじゃおるぞ。ここにも、そこにも、あそこにも』
「まあ……アカの入り込む余地はいくらでもあるか」
 叛乱兵士がなにやらわめいていた文句から、叛乱の首謀者が共産勢力であるらしい事はわかった。大日本帝国軍と共産主義というのは、真っ向から対立するように見えて意外と親和性が高い。おそらくはそういった共産親派が叛乱に関わっているのだろう。

 部屋の中を歩き回り動いている敵兵がいないか確認する。三名が既に事切れている以外は気絶しているようだった。
 シホは立ち止まると、一人呟いた。
「さて、これからどうするか」
「シ……シホさま……」
 足元からの声だった。
「ん……?」
 声を発した男に視線を向ける。先ほど襲い掛かってきたところを、軽く殴り倒した兵士であった。
 彼の顔は何故かにやけていた。シホがその原因に気付くのには、5秒を要した。彼の角度から見える物、と言えば……
「シ、シホさまのお、おぱん」
 ……スカートの中身を見られていた。
「痴れ者……ッ!」
 とりあえず足で止めをさしておく。気絶した叛乱兵は至福の表情を浮かべていた。


「シノ!聞こえているか!?」
 一拍置き、何の反応もないことにシホは舌打ちした。
「ちっ、肝心な時に……」
 机に軽く腰掛けると、横にあった機械を起動させる。
「はい、こちらシノ」
「私だ」
「シホ大将、ご無事ですか?」
 無機質な声が機械から響いた。
「問題ない。シノ缶、状況はどうか」
「『シノ缶』ではなく遠隔司令機です」
 シノ缶と呼ばれた機械が反論した。
posted by 蒼野青 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電算司令部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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